Issei
Popal Daoud Akira
明けない夜、暮れない昼
我々の所業は朝に起こり夕べには忘れ去られる
我々の偉業は今日形をなし、明日には磨耗が始まり、
やの明後日に瓦解し、あの明後日に蒸発する
我々の一挙手一投足は光の速さでこの場から遠ざかり、
永遠の先にその営みを伝える私たちは語り継がれることを望まない
我々は悪業のなんたるかを知らない
一切が同時に起こる世界では悪循環も連鎖反応も因果応報も成立しない
月がすべての相貌を同時に見せる夜、過ぎ去りし者と未だ来ぬ者と、みなで踊る
あまねくが風化する世界でセンチュリーの1つや2つ、ミレニアムの1つや2つになんの値価があろう。
私たちは語り継がれることを望まない
道化は正気
持たざる者は富を目指し
持つ者は王を目指し
王はすべてを手中に収めんと
うんとこしょ
どっこいしょ
よっこいしょ
はっけよーいのよっこらせ
大号令、はしゃぐ鼓笛隊
だが誰一人集まらないイクサバ
民草はどこだ
ヨイヤサ ヤットサー
エンヤコラセー ドッコイセ
ソイヤソイヤ セイヤセイヤ
イヤサカ~
おやー、山が
わー、山が
あれー、山が
動いた
山脈は横たわる巨人のよう
山脈は横たわる巨人のよう
ほとばしる霊気が霧となり立ち上る
サーカディアンな呼吸法
吸って吐いて雲海を産む
雷が下で鳴るところ
鷲がヌクミドリを手放すのはもっと下の方
そこから脾脱すればきっと
この山とかの山を
繋ぎ止めているようにも
切り裂いているようにも
見えるな河は
山脈は横たわる巨人のよう
ほとばしる霊気が霧となり立ち上る
サーカディアンな呼吸法
吸って吐いて雲海を産む
何事も修験者の道を阻むものはなく
それはどんな川とて例外ではなかった
困難抱える子のために
橋を架けるのは篤志家と有志
真夜中の子らは
真夜中の子らは
肝試しにその橋を小走りで渡る
僕はとてもじゃないがそんな恐ろしい橋は渡れやしない
だって
なにかが外れたり
なにかがずれたり
なにかがまくれたり
したらどうしよう
ネジが外れたり
タガが外れたり
羽目が外れたり
したらどうしよう
山脈は横たわる巨人のよう
ほとばしる霊気が霧となり立ち上る
サーカディアンな呼吸法
吸って吐いて雲海を産む
カラスの巣
秋は夕暮れ。夕日のさして山の端いと近うなりたるに、
からすのねどころへゆくとて、
三つ四つ、二つ三つなど飛びいそぐさへあはれなり。まはれなり。
もうしもうし、いったいにどちらまでお帰りに?
カラスのことですから人知の至らぬところに
庵を結んでいるのでしょう。
自慢の効くあなた様の眼下
人間太郎の抜き足差し足忍び足すべてお見通し
招かれざる者が口を開けばささやき声すら耳をつんざく
人間花子のひそひそ話も空に筒抜け
Dai Jobu, Ma
へいへいへいまだ
道半ば まだらなこの身体
失うものを失えば
僕は透明人間になれる
生まれ続ける さもなければ
死にゆく一方
おかげさまであの頃よりいくぶんか若造
へいへいへいまだ
半端な豆狸、生半可な化けだ
失うものを失えば
僕は透明人間になれる
変わり続ける さもなければ
腐りゆく一方
おかげさまであの頃よりいくぶんか若造
脈打つ砂塵
そして誰もいなくなった。
わずか残された人心は荒み、田畑は荒廃し,
大陸はその名を失い、遺跡は無機物であることを止めた。
砂煙、砂煙、砂煙をかきわけ求める
生命の痕跡、生命の痕跡、生命の痕跡
砂塵に舞うミトコンドリア
あちらからこちら飛来するアミノ酸
一滴りの水があればいい
脚に伝う地鳴りを頼りに 100 マイル彼方で唸りをあげる
嵐に群れを誘ったかつてのアフリカ象のように。
全身全霊で貪欲に求めるのは一滴りの水
生命が宿るには充分。一滴りの水
祖父母なし子の唄
おじいちゃんの顔知らない
ひとひらの思い出
おぼろげな残映
紫煙くゆらす横顔
おばあちゃんの声知らない
ひとひらの思い出
追憶のこだま
かき消す鳥の鳴き声
書かザル
智に働けば角が立つ
情に棹させば流される
意地を通せば窮屈だ
とかく人の世は棲みづらい
忍ぼうかな凌ごうかな
儚もうかな虚もうかな
国破れて山河あり
強者どもが夢の後
城春にして草木深し
蛙飛び込む水の音
ゆく川の流れは絶えずして
しかももとの水にあらず
朝に死に、夕べに生まるるならひ、
ただ水のあわにぞ似たりける
智に働けば角が立つ
情に棹させば流される
意地を通せば窮屈だ
とかく人の世は棲みづらい
忍ぼうかな凌ごうかな
儚もうかな虚もうかな
大団円
有為転変
万物流転
あっけないったら
ありゃしない
有為転変
万物流転
あなたの輝きが
愛おしい
エピローグ
あなたいい夢を見てる
明日もいい日になる
まどろみから醒めたら
夢とうつつのあわい